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ペーパーアートの裏側 | ストラーダのあるクルマ生活

ペーパーアート作品
ペーパーアート作品をじっくり見てみると、その緻密な細部に驚かされます。
車のホイール、服のしわ、犬の毛並み、どれも丁寧に描かれていますが、なんとこれは、
ほとんどをカッター1本で作り上げているのです。

なぜそこまで、カッターだけの表現にこだわるのでしょうか。ペーパーアート作家の太田隆司さんはこう答えてくれました。
「ハサミや絵の具を使ったらもっと楽できる部分もあるかもしれません。でも、それでは紙そのものの持ち味を最大限に生かせない。シンプルにカッター1本で表現するのが一番いいと信じています。」

太田さんが使っているカッター

ペーパーアート作家 太田隆司さんが使っているこだわりのカッター。ハサミや絵の具は基本的に使いません。


Strada Lifestyleブログ編集部(略してストブ編集部)がお話を伺った、ペーパーアート作家 太田隆司さんインタビュー。前回は「ペーパーアートの醍醐味」としてペーパーアートの魅力について伺いました。

第二回目の今回は、紙とカッターで表現する製作過程について、一歩踏み込んだお話を伺います。(太田さんの作品は、ストラーダユーザーのコミュニティサイト「CLUB Strada(クラブ ストラーダ)」にて、ペーパーアートのオリジナル壁紙などがお楽しみいただけます!)






服のしわ一本にも、自然に見えるような工夫がある

服のしわ1本にも、自然に見えるような工夫があります。

「車には一番やさしさが表現できる紙を使います」

カッターだけの表現にこだわる太田さん。しかし、その製作はかなりの苦労を伴うのではないでしょうか。
「基本はカッターだけですね。ハサミや絵の具なんかは使いません。他に欠かせない道具としては、カットした紙を丸めるのに使う千枚通し。これで紙をまるめて微妙な湾曲を出します。あと、紙同士を張り合わせるのに、爪楊枝と接着剤も使いますね。それでもなるべくシンプルに、これだけの道具でやっています。ただ、そのぶん手法は工夫していますよ。例えば、色のグラデーションを出したいときには、微妙に色が異なる紙と紙を下から上へ重ねていきます。こうすると、違和感なく自然に色の変化を出せるんです。逆に、はっきり色の違いを出したいところだったら、上から下へ紙を重ねるようにします。他にも、服のしわを作るときには、カッターを入れるときも下から上へ。こうすると紙の切れ目が目立たずに、自然になるんですね。」

紙の重ね方やカッターの入れ方にも工夫があるとは驚きです。
さらに太田さんは、素材となる紙の選びかたについても教えてくれました。

「唯一、車のハイライトだけは絵の具を使って着色するのですが、それ以外は紙そのものの色と質感だけで表現します。だから、紙選びは大切です。例えばヨーロッパのレンガの壁だったら、すこしざらざらした茶色の紙を何種類か使います。また、車だったら、最も紙らしい紙を使います。マーメイドという種類の紙ですが、これは質感や凹凸が良くて、一番やさしさが表現できる紙ですね。」
これはまさに、車好きな太田さんならではのこだわり。素材の紙にも注目して鑑賞してみると、ペーパーアートの楽しみ方がますます広がることでしょう。

ラフスケッチ

数パーセント間隔で大小様々にコピーしたパーツを元に構図を決めていきます。

緻密な工程が、良い作品を生み出す

では、具体的に1つの作品を完成させるまでには、どのような手順があるのでしょう。
「最初は頭の中にあるイメージにそって、資料を集め、取材をします。そしてラフスケッチを書きます。ラフスケッチがしっかりしていないと、後の工程で遅れをとるので、ほぼ完成系に近いものを書きます。」

ラフスケッチを見せていただいた。人物に数字が書いてある。これは何でしょうか。
「人物・車・建物を単品で描いたものを数パーセント間隔で大小様々にコピーして、それを貼りこんで、切り絵のようにして作るんです。書いてあるのは、その倍率のメモですね。こうすることで、違和感のない構図を探していきます。これはかなり地道な作業ですが、これで一枚の絵が正しいパースで完成するのです。」

現在、ひとつの作品を作るのにかかる期間は約1ヶ月ほど。
アトリエでは、太田さんと、パートナーの新井さんとの共同作業で作品を完成させていきます。
「もう8年もコンビを組んでいるライトハンド、右腕という意味を込めたパートナーですね。」

緻密な計算でつくりあげた背景の図面

緻密な計算でつくりあげた背景の図面は、まるで設計図のようでした。

お二人のコンビネーションは絶妙。太田さんが資料や写真を集め作品全体のイメージを作る中、新井さんが緻密な計算で背景を図面化します。
「これはもう設計図に近いですね。細かいところに計算式が走り書きしてあるでしょ。違和感のない構図にするために、いちいち計算してパースを決めているんです。ただ、そこからはフリーハンドの世界。紙を切るのはカッターだけですから。紙のささくれも労力の表れですね。」

模型ではなくアートとして

次はいよいよ紙を切り出す作業。そこでもペーパーアートならではの苦労があるのだそうです。
「製作の最終段階では、設計図通りにいかなくなることもありますよ。紙の厚さの違いなどで、誤差が出てきたりします。でも、それを無くしてしまったら面白くない。たぶん、その違和感とうまく付き合っていけるのは、これが模型ではなくアートだから。模型なら確実に見る人が違和感を感じてしまう。でもアートなら、むしろその違和感をどこかで吸収して、うまく付き合っていくべきでしょう。」

太田さんにとって、カッター1本で表現するということは、アート作品として成立させるための、魂を込める儀式のようなものでもあるようです。カッター1本だからこその苦労もある一方で、それが作品に独特の魅力を与えてくれるのかもしれません。



次回は、ストラーダオリジナルペーパーアート作品について、そこに込めた太田さんの想いを伺います。


ペーパーアート作家 太田隆司さんインタビュー 第一回「ペーパーアートの醍醐味」はこちら
ペーパーアート作家 太田隆司さんインタビュー 第三回「ストラーダ作品に対するこだわり」はこちら

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太田 隆司
太田 隆司(おおた たかし)

ずば抜けた観察力を一本のカッターと紙だけで表現してゆくペーパーアート作家、太田隆司氏。その指先から創りだされる作品は、すべて生きているかのように存在感を持ち、融合しあっています。会員サイト「クラブ・ストラーダ」では太田さんのオリジナル作品がご覧いただけます。見つめるほどに語りかけてくる、その不思議な世界をお楽しみください。

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